40歳女性です。ゼネコンで建築事務の仕事をしていました。平日の9時から15時までのパートタイムで時給は当時の最低賃金でした。子供もだんだん手がかからなくなってきたため、できれば残業がない仕事で正社員の仕事を希望していました。
シングルマザーでしたので、一度仕事を辞めてから次を探すという選択肢はありませんでした。
なんとかうまくやって、途切れなく仕事がしたいというように考えていました。
求人検索はネットや折り込みチラシ、無料で配布されている求人雑誌などあらゆるところにアンテナをはって、なるべく通いやすい場所で
正社員の仕事を、仕事を継続しながら探していました。
本来でしたら、次の仕事の目途が立ってから職場に退職の話をして、次が決まっている旨をはなして退職という筋書きを頭で描いていましたが見事にそれは打ち砕かれました。
同じ社内に複数いたパートの女性(皆既婚者で年上)が、私が昼休みに会社の裏で求人についての問い合わせをしているのを聞きつけ、
探りを入れてきたのです。うまくごまかそうとしましたが、こういう時の女性の勘の鋭さと言ったら太刀打ちできるものではなく、
転職するつもりで仕事を探しているということをついに一人の女性に話してしまったのです。
円満に辞めたいからお願いだから次の仕事が決まるまで口外しないでほしいという気持ちを伝え、快諾してくれたのですが、
女性のおしゃべりは簡単に止まるものではありませんでした。
今思えばこの時話した女性にデパ地下のお菓子でも差し入れをして、強く口止めを念押ししておけばよかったと後悔しています。
2,3日もたたないうちに部署の上司から「仕事辞めるって聞いたけど」と声をかけられ、ずっと長くいてほしい気持ちは会社としてあるが、パートタイムは仕事の物量の少なさからして変えてあげることはできないので、正社員で他を探すのならこちらも新しい人を入れて引き継ぎ等したいのでそういうことでいいか、という確認をされました。仕方なくその通りですと答え本来ならばこちらからお話をするべきところをすみませんと謝りほどなくしてハローワークに私の後任者の求人が出されることになりました。
新しい人がいつ入るのかは全くわからないし、私の新しい仕事探しも難航し気持ちばかり焦って空回りする日々が続きました。
そして2週間ほどたって、私の後任が決まったということを聞かされ、引き継ぎ期間を2週間程度設けるからということで、カレンダーを眺めてじゃあ月末までというかんじで総務に話すけどいいかな?と言われました。
確かにそれ以上は引っ張れないことは感じていました。でも、あと2週間で仕事がなくなってしまう!焦りました。
それからは、3時までは会社で後任者に仕事の引継ぎをして、その足で自宅に帰らずに転職活動をする日々でした。
当時の自分は焦りから、どこでもいいから仕事を探さなくてはと血眼になっていたんだと思います。
そんな中、駅前の某ハウスメーカーの前を通り過ぎた時社屋の扉に求人募集の張り紙を見つけました。
「正社員募集・未経験可」仕事内容は事務・インテリアプラン補助・その他雑務と書かれていました。
以前から知っていた会社で、地域に根差したハウスメーカーだったのでこれだけ名前も知れていれば大丈夫だろうという気持ちがあり、その足で会社に飛び込んだのでした。表の張り紙をみて詳しいお話を伺いたくて訪ねましたということを伝えるとやり手風の女性が降りてきて、面談をしてくれました。現在の仕事を話し、いつも持ち歩いていた履歴書をみせ、いくつか質問に答えたのち、「じゃあいつから来れる?」と聞かれてびっくりしました。
いきなり?と思いましたが追い詰められている身なのを思い出し、藁にもすがる思いで2週間後に退職する話を伝え、翌月の頭からお世話になることがあっという間に決まったのです。
こんなに話が進みすぎて大丈夫なのかとひっかかることもあったのですが、仕事をみつけたくて必死だった私は悪い予感には蓋をして、気付かないようにしてしまったのです。
2週間後からその会社での仕事がはじまりました。
初日からびっくりすることがたくさんありました。
まず、狭い事務所の中で営業部長が部下に説教がはじまると、他の社員はどんな状態でも事務所から廊下の談話室に出て待っていなければならなかったのです。それが、1日に2.3回続くこともあり、狭い社内に部長の怒鳴り声が響き渡りました。
自分のやる仕事は驚くことに完全版のマニュアルがあり、とてもわかりやすくまとめられていました。
なんでこんなマニュアルが整っているんだろう、すぐに疑問に思い仕事をしている合間にパソコンの中を探したところ、過去に私と同じ仕事をしていた女性社員の名前があるフォルダをみつけ、数えたところ2年間で30人ほどの女性が退職していることがわかりました。
どんな事情かわわかりませんが2年間に30人は尋常な数字ではないことは察しがつきました。
昼休みに一緒にご飯をたべた2か月前に入った女性の人が来週いっぱいで辞める話も聞き、とんでもないところに入ってしまったと逃げ出したい気持ちでした。、
それ以外にも休みが当初の話と違う、給料面での話の食い違いなどもあり、結局1か月ほどで退職をし、改めて1から転職活動をスタートすることになりました。じっくり腰を据えてさがし、今も勤めています。
焦りはとにかく禁物です。あと、マニュアルが整いすぎの会社も何かしら疑った方がいいのかもしれません。
